フォーリーフ社では、コンデンサーマイクロホンの他に、ボーカルマイクロホンやヘッドセット用のダイナミックマイクロホンカプセルも製造しています。ダイナミックマイクロホン用のカプセルもコンデンサーマイクロホンカプセル同様、熟練した職工さんによって手作業で組み立てられています。
ダイナミックマイクロホンの構造と動作について
ダイナミックマイクロホンは「動電型」とも呼ばれ、音で振動するダイヤフラム(振動板)で磁石の中のコイルが動く構造を持ち、音によってコイルを動かすことで電気を起こし音声信号にします。シンプルな構造で軽く、コンデンサーマイクロホンに比べ丈夫なマイクロホンです。
※ 図は一般的なダイナミックマイクロホンの図解です。販売されている製品と異なる場合があります。
ダイナミックマイクロホンのダイヤフラム(振動板)をミクロン単位のフィルムをプレス形成して制作する様子。フォーリーフは現在2台の機械が稼働しており、そのうちの1台は、テスコ音響研究所の時から使用している年代物で現在も現役で稼働しています。
プレス形成されたダイヤフラム(振動板)は油圧のプレス機で丸く打ち抜かれます。
カプセルに接着剤を塗布しマグネットを圧入しています。
振動を電気信号へ変換するボイスコイルは、一個一個、機械で巻き取り作られています。その線
の細さはミクロン単位です。ボイスコイルは、接着剤で接着され本体に取り付けられていきます。
基板は、ハウジングに取り付けができるように、一枚一枚、ヤスリを使ってサイズを調整します。
ハウジングに接着剤を塗り端子基板を取り付けていきます。
真鍮製の治具に、ダイヤフラム(振動板)とムービングコイルを乗せます。
接着剤が付いた筆で治具を回転させながらダイヤフラム全体に接着剤を浸透させていきます。
ハウジングにコイル付きのダイヤフラムを丁寧に接着していきます。
マイクロホンカプセルの端子部分をハンダ仕上げしていきます。
完成したマイクロホンカプセルは全て、周波数特性や感度を検査します。
検査を終え、合格して完成したダイナミックマイクロホンカプセル。
テスコ音響研究所の時代に蓄積されたこれらの技術は、現在のフォーリーフのコンデンサーマイクロホンカプセルやダイナミックマイクロホンカプセルなどの制作に受け継がれています。
現在はより専門性を高め、エレクトレット型とピュア型の20ミリ以上の大口径ダイヤフラムの製品コンデンサーマイクロホン用の製造を開始しています。テスコのブランドは日本から消滅してしまいましたが、そこで培われたこれまでの製造技術は、この上山工場に蓄積され、高品位なマイクロホンカプセルが手作業によって今も製造されています。ここで製造されたマイクロホンカプセルの周波数特性や感度特性は世界でもトップクラスであり、イギリスやアメリカをはじめとする大手マイクロホンのフラグシップモデルに導入されています。
Q1:会社を創業されたきっかけは何ですか?
A1:株式会社オーディオテクニカの協力を得て、同社国際部の生産拠点として出発しました。当初オーディオテクニカ向け製品の生産を中心に行っていましたが、独自にマイクロホンカプセル開発を進め、徐々に販路を広げながら、現在ではアメリカやヨーロッパをはじめ世界有数のマイクメーカーにマイクロホンカプセルを納入しています。
Q2:なぜ、マイクロホンカプセルなどを主軸に事業を行っているのですか?
A2:基本的には旧会社の事業を承継しています。マイクロホンカプセルの生産を軸としていますが、今後はフォーリーフブランドとして完成品の製造、販売を目指しています。そのためには高品質な製品を生産するのみならず、販売戦略やブランディングなど難しい課題が多く存在すると感じています。
Q3:マイクロホンカプセルで他社との違いはありますか?特徴とされるこだわりなどありますか?
A3:マイクロホンカプセルはすべて熟練した工員の手作業によって生産されます。これは作り手の勘や経験に依るところが多く、生産過程において作り手の微妙な感覚により調整されます。非合理的で大量生産には不向きですが、その微妙な感覚により生産されたマイクロホンは品質において優れていると考えています。
Q4:日本では生産拠点がどんどん海外に移っていく中、日本で高品質なマイクロホンカプセルを生産している理由は何でしょうか?
A4:海外生産しない理由としては、国内において完全にコントロールされた生産体制の中で高品質なマイクロホンを生産できるということが挙げられます。生産拠点を海外移転した場合には品質低下のリスクだけでなく、生産技術流出のリスクもあると考えており、長年にわたって蓄積してきた生産技術やノウハウを国内に留めておきたいという想いもあります。
Q5:コンデンサーマイクロホンカプセルの価格はどのように決められていますか?
A5:基本的には材料費、労務費、その他経費の算出を行い、その積み上げ計算のもと一定の利益を加えたものが販売価格となります。
Q6:開発において製造されている製品の良し悪しは、どのような過程で判断されているのでしょうか?
A6:開発においては、開発するマイクロホンのモデルとこれに競合する各有名メーカー(SENNHEISER、SCHOEPS、DPAなど)のモデルのスペックなど情報を収集し、これらのスペックと同等又はこれを上回る性能を目指します。狙った特性を得られるまで試行錯誤しながら開発が進められ、開発の各ステップにおいてサンプルを都度評価し、製品として十分な性能をもったマイクロホンが開発されます。
Q7:現在発売されているコンデンサーマイクロホンカプセルのラインナップ(種類や特性)についてお聞かせください。
A7:ECMについては、φ5mm、φ6mm、φ8mm、φ10mm、φ14mmをラインナップしています。ラベリアマイク、ボーカルマイク、楽器用、ショットガンマイク用など沢山のバリエーションがあります。
Q8:10mm以上の口径で、無指向のラインナップがないと思いますがなぜでしょうか?
A8:ホームページには載せていませんがφ14のカプセルがあります。FLU-03AやUEB-1461(2)を無指向性にしたものです。需要が少ないようなのでホームページには載せていませんでした。また、FETは搭載していないものでφ12サイズのFLK-1200N-0などがあります。
Q9:ラインナップの中に双指向性がありませんが、今後、発売されるご予定はありますか?
A9:一応、ラインナップの中に双指向性がございます。UEB-57K(2)というモデルになります。ただし、秋月電子通商様ではお取り扱いがございません。ホームページに載せてありますのでご覧いただけると幸いです。可変指向性になりますが、FLU-13A、FLU-19Aがあります。
Q10:コンデンサーマイクロフォンカプセルの保管について、湿度などの管理状況で音質に影響はありますか?
A10:湿度の高いところに保管した場合、コンデンサを構成している振動板と固定電極の間でリークしてしまい、ノイズが発生するようになってしまいます。デシケータなどでの保管をおすすめします。
Q11:自作マイクロホンは、コストや用途、音声処理について市場で販売されているマイクロホンとは異なったアプローチが可能だと思います。マイクロホン製造会社という立場でどのような可能性があるとお考えでしょうか?
A11:弊社で生産されているマイクロホンユニットは、国内外の一流メーカーが採用しているものと同様のクオリティを有していますので、自作される方々にとっても満足されるものと思っています。そのユニットを使用して自作されるマイクロホンは市販品と遜色なく、また、工夫やアイディアによってはそれ以上のものが作成できる可能性があると思います。
Q12:フォーリーフ社として今後どのような事業展開をお考えでしょうか?将来像についてお聞かせください。
A12:現在のマイクロホンカプセルの生産を軸としながら、少しずつでも完成品の数を増やしていきたいと考えています。国内生産というクオリティを維持しつつ、販売できる商品のラインナップを増やしていければと思います。「高品質であること」という付加価値を維持することで、会社を成長させ、社員とともに発展していければと思います。
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