エジソンスタンダード

シリンダーレコーディング

 

録音のことをYouTubeで調べていると、エジソン国立歴史公園(エジソンミュージアム)で企画されている興味深い動画が目にとまりました。エジソン国立歴史公園は、ニューヨークのペンシルベニア駅から電車で二時間ちょっとの場所にあります。

このエジソン国立歴史公園では、学生の演奏やプロの演奏家を招いてその場で演奏をシリンダーレコーディングするGerald Fabrisさん(キュレーター)企画のワークショップがあります。

 

 

 

エジソンスタンダードによる録音の仕組みは、ボーカルやギターの音声がホーンを伝わって音圧を上げ、振動板の先のナイフでワックスシリンダーに音を刻んでくという方法。再生は逆で、ワックスシリンダーの溝を針がトレースし振動板で音に変換、ホーンで音が拡大され再生されます。Gerald Fabrisさんの動画インタビューによると、ヴァイオリンのような繊細な音は不向きで、その当時はヴァイオリンにホーンが付いた「シュトローヴァイオリン」と呼ばれる楽器で録音していたようです。

 

エジソンスタンダードの難しさと面白さは、Gerald Fabrisさんのインタビューをは見ると伝わってきます。11分程度にまとまっていて見応えのある内容です。

 

 

エジソンスタンダードの録音は当たり前ですがモニターしながらの調整はできず一発録り。ダイナミックレンジも狭く割れた音になっています。
演奏家のパフォーマンスとワークショップを兼ねた状況だったこともあって、音量の細かな調整ができていないのでしょう。その場で録音されたワックスシリンダーが再生されると少し音が割れていますが、その音響の質感は何ともいえないものです。録音再生が実現した当時に立ち会うことができたらと思いを馳せてしまいます。

ちなみに黎明期のワックスシリンダーは、やわらかく20回のほどの再生で劣化してしまいます。録音再生時間は2分程で、劣化してしまったワックスシリンダーは機械で表面を削り落とし再び録音して使用していました。1900年代になると硬質のワックスシリンダーが開発され100回程度の再生が可能となり、後にワックスシリンダーの複製技術が確立し「エジソン・ゴールド・モールデッド・レコーズ」として複製音楽が販売できるようになります。

 

1889年のブラームス(Johannes Brahms, 1833 – 1897)による『ハンガリー舞曲(Ungarische Tänze)第1番』自作の曲を演奏して録音現存しています。

 

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  • 2021年6月24日