Soundscapes from Philoti, Naxos

キクラデス諸島ナクソス島のフィールドレコーディング

 

ギリシャ神話で知られる全知全能の神ゼウスが育った場所とされるナクソス島を舞台に、2人の人類学者Panos PanopoulosとYorgos Samantasによる日常生活と儀式、そこにゆったり流れる時間を生々しい音響空間として記録しています。

 

 

 

この作品の制作者の一人Panos Panopoulosは、ゲーテ海大学(University of the Aegean)准教授で、新たな人類学視点を導くためにサウンドレコーディングや写真、動画などのマルチメディアを積極的に使い、アーティストや研究者と共にコラボレーションしています。また、マルチメディアを通して、過去、伝統、民間伝承を再提示し、新しい切り口と機会を生み出すプロジェクトを行っています。
もう一人の制作者Yorgos Samantasのプロジェクトには、彼の活動の中でスペインのガルシアを拠点としている「noToursプラットフォーム」があります。Androidを使い、音響空間を様々な音の素材で「拡張」して音の散歩道を作るプロジェクトで、ユーザーが録音した音をその地域の地図上に貼り付け、後からリスナーが貼り付けた場所に行くと、あらかじめ録音された音を聴くことができるサウンドマップです。

 

この二人の共作では、人類学視点を持った彼らがキクラデス諸島ナクソス島の時間を15のサウンドファイルで切り取っています。そのサウンドの焦点は、日常の生活、そこで共に暮らす動物や虫たち、バスの車内で交わされる平凡な会話、村の儀式、街に響く放送、イベントのリハーサルなど、普段気に止めることのない音たちです。記録として残されることのない消え去っていく島の基調音をフィールドレコーディングしています。

 

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  • 2021年9月25日