ポーラ美術館の森の遊歩道、スーザン・フィリップスの作品「Wind Wood」

 

ポーラ美術館のまわりにある、約1キロほどのブナ・ヒメシャラが群生する富士箱根伊豆国立公園内の自然の中に、パブリックアートを眺めながら歩くことができる森の遊歩道があります。その遊歩道の中間地点くらいでしょうか、森の木々の合間から何処からともなくフルートの音色が点々と聴こえてきます。この作品は 2019 年に開催された企画展「シンコペーショ ン:世紀の巨匠たちと現代アート」で発表され、その後「森の遊歩道」に常設展示されることになったスーザン・フィリップスの作品「Wind Wood」です。

 

 

フィリップスは作品の制作にあたり箱根に滞在し、美術館にコレクションされている印象派の作品から着想を得ています。そして“音楽の印象派”で知られている作曲家モーリス・ラヴェルの歌曲「魔法の笛」を題材に選び、印象派の技法「筆触分割」のように音階を再構成して制作された作品は、森に点在したスピーカーに音を置くように配置しています。スピーカーから再生されるフルートの音は単音であり、時には重なり合うことで和音に聴こえ、時にはズレによってメロディのように聴こえてきます。設置されたスピーカーの距離間は、森を包み込むように自然な音場を生み出し、四季を通じて訪れる野鳥たちのさえずりやそこに流れる小川の音と共存しています。箱根の森に響き渡って溶け込んだ音響は、ここでしか体感できない美しい作品となっています。

 

 

 

ポーラ美術館

開館時間:9:00-17:00(入館は 16:30 まで)

休館日:無休(展示替えのための臨時休館あり)

所在地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山 1285

TEL:0460-84-2111

 

森の遊歩道

開放時間:4 月-11 月 9:00~16:30/12 月-3 月 9:00~16:00

※天候により、閉鎖する場合がございます。

※遊歩道の全長は約 1km、散策所要時間は 40 分

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  • 2022年4月30日